Hike#1
新しいレンズや見知らぬフィルムを扱う時も銀塩写真の面白さが発揮される場面だと思う。
頭の中でレンズやフィルムの特性をイメージして被写体を選んでいく。
特にカラー写真においてはフィルムの特性と自分の出したい雰囲気が合わさった時に1+1=∞みたいな結果が現れることが面白い。
まずレンズはヘクトール50ミリを選んだ。
ライカがエルマーに続いて作ったレンズでF3.5から若干無理をしてF2.5を出している為、欠陥というかクセが思い切りでるレンズなのだ。
開放に近いところで撮ると豪快にグルグルと回るボケと光を受けた部分がぼんやりと滲む現象。
ただこれは知ってさえいれば有効に使うこともできる。
次にフィルム。
たまたま手に入ったすでに製造中止の人気フィルム「ソラリス」。
ローファイな中にレトロな魅力があり、トイカメラファンを中心に人気のあったフィルムだ。
おしくも生産中止になっていた。
事前の調べでは光の受け具合で結構印象が変わるフィルムだと思った。
光に大きく左右されるヘクトールとソラリス。
山の中でじっくり撮るには最適なコンビと言えるかもしれない。
さらに久しぶりにバルナックライカ用接写装置「ヌーキー」も持ちだしてみた。
野山の小さな被写体を顕微鏡のように(実際には45センチ程度だけど)みたかったから。
日の光が存分にあたるモミジを裏から接写してみる。
ヘクトール由来のどぎついフレアとソラリスを光源に近い辺りで撮った時のイエローがかったハイライトトーンが絶妙にマッチした。
ピンがきたところの柔らかだけど輪郭のあるシャープネスはヘクトールの見事なところ。
今度は少し影になった部分、幹に落ちたモミジの葉を狙ってみる。
今度は一段絞ってシャッターをスローにしてみた。
光源に近い時よりもフレアも黄色いハイライトも薄れて爽やかなグリーンが強調された。
最後にヌーキーを取り外して全体を撮った。
もともと薄く霧がかっていたもののヘクトールらしき淡いベールのようなモヤがかかって不思議な雰囲気が出た。
山の中は街の中と違ってゆったりとした気分でゆっくり撮影ができる。
そんな写真をいつものストリートスナップとは別に続けてみよう。
というシリーズ。
リー・フリードランダー的な何か
リー・フリードランダーと言えば自分の影のセルフポートレートだろ?
と、思っているんだけど「ヌード」ってタイトルの写真集が気になってます。