ロベール・ドアノー「ドアノー写真集」
東海道中のさなか*1なんですが、ロベールドアノーの写真集を手に入れました。
「パリ」「子供たち」「ポートレート」「パリ郊外」の4冊からなる結構なボリュームの写真集なのですが、古書でわけありのものを破格で手に入れることができたんです。
1日1冊シミジミと読んでみたんですが、僕はドアノーさんのことをよく存じ上げません。
だけど写真から滲みでてくるのは「控えめで実直で優しい人」だったんじゃないかなーと思います。
さて、詳しく調べてみると1912年生まれ。ブレッソンと同じ世代の人なんですね。
「私は物事をありのままに撮らない。こうあればいいと思う世界を撮っているのだから」
これはブレッソンからマグナムへ入るよう勧められた時に断ったドアノーの言葉だそうです。
なるほどだから写真から優しさがにじみ出るのかもしれない…。
特に子供をテーマにした写真が多くてどれも優しい視線を感じます。
6×6写真が多いからか安定した低い目線を感じるものも多いんですよね。
ドアノーと言えば「パリ市庁舎前のキス」が最も有名な1枚だと思うんですけども、これは一度キスしている二人にもう一度キスをお願いして撮ったと言う演出写真であったことが明かされます。
そして被写体である女優の卵に肖像権を訴えられ、勝訴はしたものの大変なショックを受けたそうです。
ファッション誌ヴォーグに入社してもスタジオ写真よりも路上スナップに魅力を感じたというドアノーはありふれたパリの人々の日常の一コマを「少し引いたような目線」で切り取っているように僕には感じました。
日常生活のなかで起きる小さな奇跡はほんとうに刺激的です。道端で繰り広げられる予想もつかない出来事は、どんな映画監督でも思いつきません。
アジェより後(30年くらい)、ブラッサイより1世代前になるドアノーさん。
ついローライフレックスが欲しくなってしまう写真がいっぱいです。
ちょこちょこ写真集も集まってきたんですが、くしくも「パリ」ばかり…。
そろそろ別の街も…。
さて次は何を読もうかな。
*1:詳しくは前回のポストをどうぞ