ライク・ア・ローリングストーン
忘れもしない9月25日。
写真展搬入の日、僕は会場に向かって権之助坂を下っていた。
朝から少し調子が悪かった、だけどいつものようにライカを肩の上に乗せて会場までのわずかな間もシャッターチャンスがないかと辺りを見回していた。
その時その瞬間はおとずれた。
車に轢かれたのなら走馬灯が回るだろうし、不意の病ならブラックアウトするかもしれない。
しかしその時は違った世界が回転したのだ!
何かにつまづき、前のめりに倒れた僕はとっさに右手のカメラを空に掲げ、そのまま前転受け身。
クルンときれいに立ち上がった。
「あたたたた。」と痛くもないのに恥ずかしさを紛らわしたのだ。
その倒れる瞬間、直前に撮ったのがこの写真だ。
この1枚を撮って「今日は縁起が悪いんだきっと」とカメラをバッグにしまった。
だから2014年9月25日はこの1枚だけ。
転がるところから7日前の同じ場所、やっぱり僕は撮っていた。
どうもここが気になるらしい。